研究課題/領域番号 |
12670812
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高田 実 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (20154784)
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研究分担者 |
白崎 文朗 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (10313644)
八田 尚人 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (30272959)
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キーワード | 黒色腫 / 転移 / 転移抑制遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / KiSS1 metastin |
研究概要 |
本年度は、転移抑制遺伝子KiSS1のin vivoにおける重要性を検証するために、メラノサイト系腫瘍51病巣(母斑細胞母斑4、原発性黒色腫20、黒色腫の転移27)におけるKiSS1 mRNAの発現をin situ hybridizationで法で検討した。さらに、転移腫瘍におけるKiSS1 mRNAの発現と6q16.3-q23のLOHの関連を検討した。その結果、母斑細胞母斑4例と厚さ4mm未満の原発性黒色腫8例の全例においてKiSS1 mRNAの発現が認められた。しかし、厚さ4mm未満の原発性黒色腫および転移腫瘍ではそれぞれ50%(6/12)1・44%(12/27)でKiSS1 mRNAの発現は消失していた。一方、転移腫瘍の52%(14/27)で6q16.3-q23のLOHが検出され、KiSS1 mRNAの発現消失と6q16.3-q23のLOHの間には有意の相関が認められた(P=0.03)。これらの成績から、KiSSのin vivoにおける転移抑制遺伝子としての重要性が強く示唆され、さらに6q16.3-q23の未知の癌抑制遺伝子がKiSS1の発現を制御しているというWelchらの仮説が裏づけられた。一方、ごく最近、KiSS1遺伝子はG蛋白共役受容体hOT7T175のリガンドであるメタスチンをコードしていること、マウスの実験系ではメタスチンの投与により黒色腫の転移が抑制されることが明らかにされた[Ohtakiら、Nature,2001]。そこで、現在さらにin vivoの黒色腫サンプルを用いてKiSS1およびOT7T175のmRNAの発現量を定量的PCR法により、腫瘍組織におけるメタスチンの発現を免疫組織化学により検討中である。
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