研究概要 |
当研究では外来抗原に対して、高IgE産生し、アトピー性皮膚炎のモデルマウスとしてNC/ngaマウスを用いて、T細胞の役割を明らかにする。モデル抗原としては卵白アルブミン(OVA)を用い、T細胞の動態を追うために、OVA特異的H-2b拘束性T細胞受容体トランスジェニックマウスを導入する。前年度にNCマウスのH-2アロタイプはH-2bでもdでもなくユニークであったため、NCマウスに対する抗血清を作成した逆の認識をする抗体としては、5F-1抗体を用いた。NCマウスにMHC class II拘束性のOT-IIとMHC class I拘束性のOT-Iマウスを掛け合わせ、TCRトランスジーン陽性のマウスを選びNCマウスにバッククロスし、TCRトランスジーン陽性でH-2(bxNC)のマウスを上記抗体で選び、バッククロスを繰り返した。 OT-II(H-2b, NCバックグラウンド)、OT-I(H-2b, NCバックグランド)が得られ、OT-II(H-2b、C57BL/6バックグランド)、OT-I(H-2b、C57BL/6バックグランド)と比較検討した。また同時に、トランスジーン(-)で、NCバックグラウンドで、H-2(NC), (bxNC),および、(b)が得られ、NCマウスのH-2ハプロタイプの関与を調べる。各々のマウスにおけるIgE産生とT細胞の抗原特異的反応をアッセイした。 T細胞の胸腺での選択はNCバックグランドであってもC57BL/6と同様に行われた。 T細胞の抗原特異的反応ではバックグランドによる明らかな差異はなく、in vivoにおけるIgE産生はTCRトランスジェニックでない時、NCで高いが、TCRトランスジェニックになると、意外にもC57bl/6において、NCバックグランドよりも高かった。したがって、NC(H-2b)においてはある種のT細胞とIgE産生が障害されていることが明らかになった。
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