研究課題/領域番号 |
12670819
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30136791)
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研究分担者 |
乾 重樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30324750)
佐野 栄紀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80273621)
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キーワード | 毛 / 毛周期 / 組織再生 / STAT3 / PKC / PI3K |
研究概要 |
EGF、HGFシグナルなどの下流に存在する転写因子であるSTAT3の皮膚における機能を知るために、Cre-LoxP systemを用いてSTAT3を表皮と毛包に特異的に欠損させるコンディショナルノックアウトマウスを作成した。このマウスでは胎生期における毛包形成と初回の休止期までは正常であったが、第2毛周期へ移行できず、加齢とともに脱毛を生じ皮膚潰瘍を多発した。in vitroでは表皮細胞はEGF、HGF刺激による増殖は正常であるが、遊走が阻害されていた。すなわちEGF(HGF)-recepto-STAT3を介するシグナルは胎生期における器官形成には関与しないが、成長期の開始や創傷治癒の初期に必須であると考えられた。一方、休止期にあるマウスを抜毛やTPA処理すると正常なマウスでは成長期を誘導することが知られているが、STAT3-/-マウスでも同様に成長期が誘導された。in vitroではTPA刺激により-/-マウスの表皮細胞は正常なマウスの表皮細胞と同様に遊走活性を示したが、この遊走はPl3-kinase阻害剤により阻害された。これらの結果より成長期の誘導にはSTAT3依存性のシグナル伝達機構と非依存性、おそらくPKC依存性の機構とが関与し、そのいずれのシグナル伝達機構にもPl3-kinaseの活性化が必須と考えられた。
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