研究概要 |
12種類のメラノーマ細胞を10%FCS添加DMEM, RPMI1640培地にて大量に培養し、凍結保存した。平成12年度に検討した増殖能に基づき、4種類の細胞を選択し、さらに大量に培養した。増殖した細胞を回収し、FCS無添加のDMEM, RPMI1640培地に懸濁し、細胞数を1000万個/mlに調整した8週令の♀ヌードマウスの両肩にそれぞれ0.1mlずつ皮下注した(メラノーマ細胞は100万個/部位)。経時的に腫瘍のサイズを電子ノギスで計測したところ、移植後4週間で直径が約15mmの腫瘍を形成した。メラノーマの細胞種により腫瘍のサイズは異なっていた。転移能について検討したところ、肺転移は認められなかった。以上の結果より、メラノーマ腫瘍細胞のヌードマウスへの移植技術は確立できたと考えた。 上記の確立したメラノーマ腫瘍細胞のヌードマウスへの移植モデルにアデノウィルスを皮下注した。用いたアデノウィルスベクターはアポトーシスを誘導するASK1遺伝である。腫瘍形成後2週間後に1000万PFUを腫瘍内に直接投与し、経時的に腫瘍サイズを計測した結果、コントロールベクターでは腫瘍の増大がみられ、腫瘍の抑制効果は認められなかったが、ASK1遺伝子導入群では腫瘍サイズの縮小が認められ、腫瘍の抑制効果が認められた。組織学的には、腫瘍細胞はアポトーシスを起こしている所見が認められた。 以上の結果より、アポトーシス誘導遺伝子であるASK1によるメラノーマの遺伝子治療の有効性が示唆された。
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