研究概要 |
急性ウイルス発疹症(麻疹、水痘、EBウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症)の皮疹出現時と皮疹消退時における末梢血中の単球、NK細胞、およびT細胞(CD4,CD8,γδ)におけるサイトカイン(IFN-γ,TNF-α,IL-1,2,4,6,8,10,12,13)とホーミングレセプター(CLA,α4β7,L-selectin)の発現を経時的に解析した結果、皮疹出現早期にはIL-12を産生する単球が増加しており、皮疹が消退するにつれてIL-12を産生する単球は減少していた。T細胞に関しては早期にはIFN-γを産生するCD8細胞が著明に増加しており、かつそれらのCD8細胞の多くは選択的にCLAを発現していた。これらのポピュレーションは皮疹消退時にはほとんど認めなくなり、さらにこれらの細胞はアポトーシスのマーカー(Apo2.7)を有意に発現する傾向にあった。一方、NK細胞、およびγδT細胞はCD4,CD8細胞に比べ、早期から活性化のマーカー(CD69etc)を発現する傾向にあり、IFN-γなどのサイトカインの産生能も高かった。また、皮疹消退時にはIL-10を産生する単球やリンパ球が増加していた。これらのウイルス感染時のダイナミックな免疫応答の結果は実際の臨床症状の多様性や皮疹の程度と相関すると考えられた。 現在、さらにウイルス抗原を用いて、in vitroで抗原特異的に反応するeffector細胞におけるサイトカイン、ホーミングレセプター、アポトーシス関連分子の発現を解析中である。
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