急性ウイルス感染の1つである、麻疹の患者の免疫応答における末梢血のγδT細胞とNK細胞、CD4^+T細胞、CD8^+T細胞との経時的な相互関係をフローサイトメトリーにより検討した。麻疹の発症初期(第1〜3病日)では活性化している(CD69陽性の)γδT細胞の増加がCD69^+NK細胞の増加とともにみられた。中期(第3〜5病日)ではCD69^+γδT細胞およびCD69^+NK細胞は減少し始め、変わってCD69^+CD8^+T細胞の著明な増加がみられた。後期(7〜10病日)ではCD69を発現したγδT細胞、NK細胞、CD8^+T細胞はいずれも末梢血中からほとんど消失していた。またCD4^+T細胞はいずれの病日でもほとんどCD69を発現していなかった。サイトカイン産生能を調べると、γδT細胞はNK細胞とともに高い割合でIFN-γを産生していた。CD8^+T細胞は中期にIFN-γを産生する細胞が著明に増加し、またそれらの細胞はCLAを選択的に発現していた。以上の所見から麻疹感染ではγδT細施がNK細胞とともに、早期の感染防御に働いていることが示唆され、引き続いておこるCD8^+T細胞による感染防御と二相性の免疫防御機構があることを示された。このような麻疹の免疫応答の初期に関わるγδT細胞は麻疹に対する生体の免疫応答を方向づけ、病気の予後にも影響を与える可能性が示唆される、
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