昨年度に引き続きBalb/cマウスを感作後、同一ハプテン(OXまたはTNCB)にて繰り返し誘発することにより、急性期(1回のみ誘発)、慢性期(24日以上誘発を繰り返す)の病変を作成し、その病変成立における樹状細胞(DC)の役割を検討した。 1.昨年度の研究において慢性期リンパ節細胞内にはIL-12、TNF-αを産生するCD11c^+DCが減少していることが示され、それによりCD8^+T細胞からのIFN-γ産生が低下している可能性が示唆された。そこで本年度はこの可能性を明らかにするため、慢性期リンパ節細胞よりDC分画を除去し、急性期リンパ節細胞より得られたDC分画を加えることにより、CD8^+T細胞からのIFN-γ産生が回復するかの検討を行った。急性期リンパ節細胞中のDC分画を加えることにより、慢性期リンパ節細胞中のCD8^+T細胞のIFN-γ産生はある程度回復した。一方、遂に慢性期リンパ節細胞中のDCを、DC分画を除いた急性期リンパ節細胞に加えたところCD8^+T細胞からのIFN-γ産生は著明に抑制された。このことは、DCから産生されるサイトカインの低下が慢性期リンパ節細胞のTh1反応の低下、Th2反応へのシフトの大きな要因と考えられた。 2.慢性期リンパ節細胞中のDCの減少が、皮膚の病変部においても確認されるかを、病変部皮膚を用いた免疫組織化学により検討した。急性期皮膚と比べ、慢性期皮膚では真皮に浸潤しているCD11c^+DCの数が減少しており、リンパ節と同様の結果が得られた。急性期リンパ節細胞中のDCを慢性期皮膚病変部に局所移入したところ、局所皮膚の反応性はTh1タイプに近い遅延型反応を認めた。 以上の結果は、慢性期には皮膚、リンパ節ともに繰り返し刺激を加えた結果、CD11c^+DCがactivation-induced cell deathに陥り、Th1反応が抑制されたと考えられる。
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