(1)患者の集積、ならびに臨床表現形の解析 葉状魚鱗癬、非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の家系を日本全国から数家系集積した。インフォームドコンセントに基づき、研究協力に同意がえられた患者のみを今回の研究対象とし、それぞれ臨床症状の重症度、皮疹の分布等を詳細に検討した。 (2)微細構造変化の観察 患者から皮膚生検を行ない、透過電子顕微鏡により皮膚表皮の果粒層、角層のケラチノサイトの微細構造上の変化を観察した。とくにcornified cell envelopeが形成される果粒層、角層の細胞の細胞膜付近を詳細に解析した。葉状魚鱗癬、非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の臨床症状の重症度、皮疹分布等と、微細構造変化の程度との相関関係の比較検討を行った。 (3)共焦点レーザー顕微鏡による解析 皮膚生検組織の一部を急速凍結し、凍結切片を作成した。cornified cell envelopeの前駆蛋白、表皮のtransglutaminase等に対する抗体を用いて免疫染色し、それぞれの蛋白レベルでの発現量、分布状態を共焦点レーザー顕微鏡で詳細に検討した。免疫組織化学に用いるモノクローナル抗体としては、transglutaminase 1、involucrin等に対するものを用い、葉状魚鱗癬、非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の一部の症例で、それらの分布に異常があることが明らかになった。 (4)免疫電顕による解析 透過電顕、ならびに、共焦点レーザー顕微鏡による観察でcornified cell envelopeの形成異常が確認された症例に対してcornified cell envelopeの前駆蛋白に関しては、免疫電顕により微細構造レベルでの発現分布状態を解析し、分子レベルでのcornified cell envelopeの形成異常を定量的に明らかにした。
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