研究概要 |
悪性黒色腫の発生、進展、転移に関与する因子を検索することにより、本腫瘍を制御し、その予後を改善することを最終的な目的として、特にGrowth Regulated oncogene-α(GROα)との関連性について検討を加えた。 方法:樹立されているメラノーマ細胞株7株を用いて、MEMを添加した培地上で、コンフルエントに達した時点で材料とした。それぞれよりRNAを抽出し、RT-PCR法にてGRO-α、IL-1α、TNF-αの増幅の有無を検討した。 結果:原発部位および再発部位由来の3株においては、明らかなGRO-αの発現が見られたが,転移部位由来の4株では2株のみであった。IL-1α、TNF-αの発現はいずれの株においても認められなかった。 考察:メラノーマ細胞の培養株での検討より、GRO-αの発現はメラノーマ細胞すべてで見られるわけではないことが確認された。転移部位由来の細胞株では、発現の見られなかった株が4株中2株あり、また発現の見られた2株においても発現量は、原発部位、再発部位由来の3株に比べて、明らかに低下していた。GRO-αの発現がいかなる因子により制御されているかは、今回検討したIL-1α、TNF-αの発現からは明らかではなく、今後の検討を要するが、転移後にGRO-αの発現が低下するものと考えられ、メラノーマの形質転換、再発時の増殖において、GRO-αが重要な役割を担っているものと考えた。
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