1)平均年齢27歳の正常ボランティア12名で呼気・吸気のCTを施行。また、背臥位・腹臥位でCT施行した。その結果、重力方向の高さの違いによるCT値の変化は体位の違いによっても同様に観察され、体位に違いによる値の変化は一定で、背臥位での評価のみで肺野のCT値の評価をしても問題ないことが判明した。また、CT上、air trappingは42%で出現し、体位により消失しており、生理的な変化である可能性が示唆された。詳細は平成14年度の日本臨床生理学会雑誌に掲載予定である。 2)現在まで、喫煙者、非喫煙者それぞれ25例、18例で吸気・呼気CTを施行している(呼吸機能検査も施行している)。Air trappingは非喫煙者の気腫性変化のない症例で有意に発生していた。当初の結果とは違い、air trappingは気腫性変化・喫煙とは関連しない可能性があった。また、喫煙者では吸気・呼気CT値の変化が少なく、肺野全体のCT値も正常より低い傾向にあることがわかった。したがって、喫煙による肺変化の指標としては、後者がより重要である可能性があることが示唆された。 3)平成14年度中には非喫煙・喫煙症例を中心に、air trapping肺野濃度の変化の評価をさらに追加したい。また、正常例での評価をできれば15例ほど追加し1)の再検討もしたい。14年度中には多数症例で画像変化と呼吸機能検査との対比も行い、両者の相関の有無・CTの有用性の有無・喫煙の肺野変化に対する影響の有無に関しある程度の結論を導くことができると思われる。
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