研究課題/領域番号 |
12670850
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
橋本 学 秋田大学, 医学部, 助教授 (40156295)
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研究分担者 |
佐々木 昌博 秋田大学, 医学部, 講師 (20221278)
館 悦子 秋田大学, 医学部, 医員(臨床)
渡辺 磨 秋田大学, 医学部, 助手 (90261669)
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キーワード | 喫煙 / 肺 / CT |
研究概要 |
喫煙者36例(男性30例、女性6例、平均年齢56歳)と非喫煙者23例(男性4例、女性19例、平均年齢59歳)を対象にして、高分解能CTにて吸・呼気での肺野濃度変化、air trapping(AT)と気腫性変化の出現率及び呼吸機能との対比をおこなった。ATは非喫煙群の89%、喫煙群の53%,気腫性変化は非喫煙群には認められず、喫煙群の44%に出現した(いずれもP<0.05)。また、1秒率は非喫煙群が84%、喫煙群が69%と喫煙群で著明な低下がみらえた。しかし、肺野濃度変化は喫煙群でわずかに全体に肺野濃度の低下があるが吸・呼気時の差に大きな違いはなかった。 また、喫煙群でATの認められた症例と認められない症例で比較検討した。ATを認めない症例で1秒率が60%と、認めた症例の76%に比較して著明な低下があった(P<0.001)。また、肺野濃度変化をみるとAT-群で肺野濃度は全体に低く、吸・呼気の肺野変化も小さい傾向があった。また、喫煙群で気腫性変化の出現の有無で検討すると1秒率の違いはないが、肺野濃度変化が上・中肺野の非荷重部で小さい以外に大きな変化はなかった。ただし、喫煙係数は気腫性変化+群で有意に高かった。 喫煙によりAT出現率低下と気腫性変化の出現を認める。ATが認められない症例では有意に1秒率低下がみられ、これを反映して吸・呼気肺野濃度変化の低下もあった。気腫性変化の出現の有無による呼吸機能検査結果の違いはなく肺野濃度変化にも明らかな違いはなかった。すなわち、喫煙症例で重要なものはこれまでの報告とはまったく異なり、ATの出現がないことであり、ATは生理的な病態である可能性が示唆された。今後、CTで吸・呼気での肺野変化をみることは重要と考えられた。
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