研究概要 |
本研究では脳腫瘍を対象に^<11>C-コリン、^<18>F-アミノ酸、^<18>F-FDGといった様々な核種を用いたPETによる腫瘍の代謝情報とMRスペクトロスコピー(MRS)による腫瘍の生化学的情報を病理組織と対比し、脳腫瘍の悪性度の評価とMRS,PETの脳腫瘍における臨床的有用性を検討することを目的とした。 腫瘍ヌードマウスを用いて、腫瘍の^<11>C-コリン、アミノ酸製剤である^<18>F-アルファメチルタイロシン、^<18>F-FDGのPETでの集積を測定した。また実験用MR装置にて同マウスを用いプロトンMRSを施行し、MRS内コリンと^<11>C-コリンPETとの対比をした。臨床研究では脳実質内新生腫瘍および転移性腫瘍を対象とした。対象患者はすべて手術あるいは生検が施行され、病理診断が確定したものに限定した。上記3種類の核種、^<11>C-コリン、^<18>F-アルファメチルタイロシン、^<18>F-FDGを用いてPETの検査を施行し、腫瘍部位の集積量を測定した。プロトンMRSを施行し、腫瘍内のクレアチニン、コリン、NAA、乳酸らを測定した。 動物実験、臨床研究ともに同様な結果が得られた。腫瘍の存在診断には、^<18>F-アルファメチルタイロシンが最も優れていた。組織悪性度と最も相関したのは^<18>F-FDGであった。^<18>F-アルファメチルタイロシンは腫瘍のgradingには不向きであった。MRS内コリンと^<11>C-コリンPETの集積とはあまり相関関係はみられず、^<11>C-コリンPETも組織悪性度の評価は困難であった。 本研究は脳腫瘍をモデルとして行ったが、特に18F-アルファメチルタイロシンは肝臓や骨軟部腫瘍にも応用が考えられ、今後とも研究を続けていきたい。
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