研究概要 |
平成13年度にMRI-X線複合システムを開発し、東大放射線科に設置した。システムは0.3T open型MRI(日立)とX線DSAからなり、寝台が回転してMRIおよびX線透視・DSA装置の撮像、撮影部位に移動するものである。寝台はこのシステムのために新たに開発したものである。この寝台の開発により、患者自体は寝台から動くことなく、MRIとX線検査を受けることが可能となった。 血管内手技とMRIの組み合わせとして、当院倫理委員会の承認を得て,まず血管腫の塞栓術、頭頚部癌の局所動注などの臨床応用を行い,良好な結果を得た。 MRIで脳梗塞の治療効果をモニターするのに必要なパルスシークエンスの開発も完了した。MRIで循環動態を観察可能な2D thick slice MRDSAは造影剤の至適注入濃度などについて検討し、報告した。また、急性期脳梗塞の観察に欠かせない、open MRIでの拡散強調像と潅流画像についても、single-shot EPI法を用いた撮像法を開発し、通常のMRI検査で用いている。 残念ながら,期間中に拡散強調像でモニターしつつ,血栓融解療法を行った症例はなかった.脳梗塞を専門とする施設でも,経動脈性の血栓融解療法の適応となる症例はまだ限られている,通常の検査における拡散強調像で血栓融解療法の適応にはならないが,発症数日の脳梗塞を検出しえること,癌の動注療法においてMRI-X線透視システムが有効に機能することは確認しえた.適当な症例があれば,拡散強調像でのリアルタイムのモニター下に血栓融解療法が可能な環境を開発しえたと考えている.
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