研究課題/領域番号 |
12670871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
副島 俊典 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20231384)
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研究分担者 |
白川 利朗 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70335446)
後藤 章暢 神戸大学, 医学部, 助教授 (70283885)
杉村 和朗 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00136384)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 放射線治療 / 遺伝子治療 / p53 / アデノウイルスベクター / アポトーシス / 細胞周期 / 前立腺癌 |
研究概要 |
p53遺伝子変異は前立腺癌を含め、乳癌、肺癌、大腸癌などの多くの悪性疾患において最も高頻度に認められ、放射線治療や他の抗癌剤治療効果の多くは正常のp53遺伝子の機能に高度に依存していることからもその生物学的特性に大きな関心が寄せられている。しかし、遺伝子治療単独で癌を制御することは困難であり、集学的治療に組み込んだ治療法の開発が必須である。そこで我々はアデノウイルスベクターp53遺伝子(Ad5CMV-p53)を用いた遺伝子導入と放射線照射との併用効果について、p53遺伝子に異なる種類の変異を持つヒト前立腺癌細胞におけるin vitroでの実験を行った。放射線照射単独ではp53発現量はほとんど変化しなかったのに対し、遺伝子導入併用群では著明に上昇した。その下流に位置しアポトーシスおよび細胞周期を制御する遺伝子であるBax、p21の発現量も併用群において増強されていた。アポトーシスの定量的評価では、放射線照射単独ではほとんど観察されなかったが、遺伝子導入を行うことによりアポトーシスの頻度は劇的な増加が見られた。また、細胞周期解析にて放射線照射単独ではG2期停止の割合が増加し、遺伝子導入単独ではG1期停止が増加していた。併用群においてはG1停止、G2期停止共に単独治療群よりも増加していることが観察された。これらから、p53遺伝子の導入により、アポトーシス・細胞周期停止の双方の経路を介した細胞死・増殖抑制効果が活性化され、放射線照射の効果を増強することが解り、これらの結果は細胞のコロニー増殖能に反映されていた。また、放射線照射によりp53遺伝子の導入効率が上昇することを見出し、この点も併用効果を高める一因であることが判明した。現在、in vivoにおける導入効率の更なる改善手段を検討中であり、臨床応用への基盤とするための研究を進めている。
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