研究概要 |
「目的・意義」拡張されたフラクタル次元を用いて,コンピュータによりCT検診で大量に検出される肺腫瘤陰影の特徴を解析して定量的で客観的な情報を提供することにより,読影する医師の負担を軽減し診断精度を向上させることを目的とする.本年はまず予備的研究として,高分解能X線CTにて撮影された小型肺腫瘤画像に対して,鑑別診断のためにフラクタル解析による辺縁構造の形態的情報の定量化を試みた.「方法・結果」確定診断のなされた70例の小型肺癌(腺癌61例,扁平上皮癌9例)と,47例の小型良性肺腫瘤(過誤腫23例,器質化肺炎13例,結核腫11例)を評価の対象とした.高分解能X線CT画像のスライス厚は2mmで画素サイズは0.325mmである.最初にCT画像上の腫瘤辺縁に32x32画素の関心領域(ROI)の設定を行い,このROIに対して二値化輪郭抽出処理後に二次元ボックスカウント法にフラクタル次元の計算と,CT値に基づく三次元ボックスカウント法によるフラクタル次元の計算を行った.解析結果より,二次元のボックスカウント法と三次元のボックスカウント法によるフラクタル次元を組みあわせることにより小型肺腫瘤の鑑別診断が可能であることが示された.「まとめ(展望)」開発中のフラクタル次元の測定のプログラムは,ほぼ自動的にCT画像の腫瘤の特徴が解析可能ある.またコンピュータに詳しくない医師でも操作可能なグラフィカルユーザインターフェイス血も備えている.ROIの設定に関しては辺縁のみではなく内部にも自動的に設定可能であり,その結果は現在解析中である.さらに腫瘤辺縁の高精度な抽出処理のためのアルゴリズムを開発中で,拡張されたフラクタル次元に関していくつかの手法を試みている.
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