研究概要 |
平成12年度、我々は、SCCA1とSCCA2がCytosolに局在し、これらの蛋白が非分泌蛋白であったことを示した。局在を見る時、SCCA1あるいはSCCA2とGFPとの融合遺伝子を導入した安定細胞株を用いたが、これらの安定細胞株を用いて、SCCA1あるいはSCCA2の放射線照射による細胞障害に対する影響について検討した。 1)放射線照射による増殖抑制、アポトーシスの誘導に対する影響 SCCA1、SCCA2の非産生細胞株、COS7,MDA-MB-231細胞に、それぞれ、SCCA1-GFP, SCCA2-GFPを導入した安定細胞株を用いた。コントロールにはGFPのみを導入した細胞株を用いた。これらの細胞株に0-10Gyの放射線照射を行い、細胞の増殖、アポトーシスの誘導について検討した。SCCA1-GFP, SCCA2-GFPを導入した安定細胞株はコントロール細胞に比べ、明らかに放射線照射による増殖抑制に対し抵抗性を示した。SCCA1-GFP, SCCA2-GFPそれぞれの遺伝子導入細胞において、その抵抗性に明らかな差は認められなかった。また、核染色で形態を観察したところ、アポトーシス変化を示す核の破砕、濃縮が、SCCA1-GFP, SCCA2-GFPそれぞれの遺伝子導入細胞において、コントロール細胞に比し軽度であった。 2)放射線照射による細胞障害時のSCCA1とSCCA2の細胞局在変化 我々は、非ストレス時、Cytosolに局在しているSCCA1とSCCA2が、放射線照射による細胞障害時に核へ移行し、核を保護する可能性について検討した。しかしながら、SCCA1-GFP, SCCA2-GFPそれぞれの遺伝子導入細胞において,0-10Gyの範囲の放射線照射によるGFPの局在に変化は認められなかった。
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