研究概要 |
本年度は,「MR灌流画像により得られる平均通過時間の測定法による差異」の研究を行った.研究の趣旨は以下のごとくである. 1,目的:Deconvolution法とFirst-moment法のによるMR灌流画像の平均通過時間測定値をPETの測定値と対比し検討する. 2,方法:脳主幹動脈閉塞ないし狭窄のある患者12例を対象とした.測定は両側大脳半球で行った.MR灌流画像とPET画像はcoregistrationを行った. 3,結果・結論:Deconvolution法のMTT値(9.7±1.4秒)は,First-moment法(7.5±0.9秒)やPET(7.3±2.3秒)と比較して高値を示す傾向にあった.いずれの方法間にも有意な相関が得られたが,Deconvolution法のMTT値には改善の余地があると考えられた. また,昨年度の研究成果「虚血性血管障害におけるMRとPETによる平均通過時間(MTT)の対比研究」を誌上発表した(Innervison 2002:17(8);67).論文の趣旨は以下のごとくである.1,目的:脳循環の指標のひとつである平均通過時間は,脳灌流圧の指標となり得ることが知られている.慢性虚血性血管障害において,MR灌流画像で得られる平均通過時間とPETにより得られる平均通過時間とを比較検討する.2,結果と結論:患側と健側の平均通過時間は,MRの7.3±2.2秒と6.0±1.2秒に対し,PETでは8.2±3.0秒と6.4±1.7秒であった.平均通過時間はMRとPET間で有意な相関を認めた(P<0.0001).MR灌流画像で得られる平均通過時間は,PETで得られる平均通過時間と良い相関を示し,十分信頼できると思われた.
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