研究概要 |
【目的】artificial neural network(ANN)は、医学分野におけるデータ分類やパターン認識においても応用されるようになってきた。我々はこのANNを胸部の高分解能CTにおけるびまん性肺疾患の鑑別診断に応用を試みたところ、比較的高い診断能が得られた。今回ANNの結果を用いて読影実験を行い、"second opinion"としての読影者に対するANNの影響について検討した。 【方法】ANNはHRCTから得られる23の所見と10の臨床データを入力層とし,サルコイドーシスや癌性リンパ管症など11の疾患を出力層として構成した。入力層におけるHRCT所見は放射線科医が主観的なratingを行った。130の臨床例を用いてラウンドロビン法によるANNの学習およびテストを行った。読影実験に用いる症例は、130症例のうち45症例を選択した。読影方法は、まず10の臨床データとHRCTで各疾患のprobabilityの確信度をマークし,その後読影者自身のratingに基づいたANNの結果を提示し、必要に応じて確信度を変更してもらった。ANNおよび読影者の診断能はROC解析で評価した。 【結果】臨床データとHRCTのみを用いた読影者の平均の診断能はAz=0.959、ANNの結果を加えた読影者の平均の診断能はAz=0.970で、読影者の診断能の有意な改善(p=0.013)が見られた。 【結論】胸部HRCTによるびまん性肺疾患の鑑別診断において、ANNは"secondopinion"として有用である可能性が示唆された。今後、症例を蓄積しながらANNの診断能の向上を図るべくANNの構成やdatabaseの最適化をはかっていきたい。
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