^<99m>Tc-GSA(galactosy1 human serum albumin)は肝細胞のみに存在するアシアロ糖タンパクの受容体に結合し、肝機能を評価できる放射性医薬品として注目を受けている。一般的には肝内の受容体分布はほぼ均一であり、部分の総和が全体を反映すると考えられる。また、種々の報告から個々の肝細胞が持つ受容体量は疾患によらず一定と考えられており、受容体の総量から肝細胞数を推定することが可能で、^<99m>Tc-GSAの集積性が肝機能を代表するパラメーターと考えることができる。 肝は肝動脈と門脈の二重支配を受ける特殊な臓器であり、臨床の場では腫瘍による門脈枝の狭窄や閉塞により^<99m>Tc-GSAの局所的な集積低下を示した症例を経験する。このような状況下では、肝動脈血流量が代償的に増加すると信じられているが、どの程度まで肝機能を代償するかは未知の問題である。この二年間の研究ではラットの部分的門脈あるいは肝動脈閉塞モデルにより、^<99m>Tc-GSAを使用して血流量とアシアロ糖タンパク受容体量の変化を観察し、肝血流量と肝機能の関係を検討している。 二ヵ年の研究予定で、平成12年度は肝のアシアロ糖タンパク受容体量の推定精度をあげる、理論的な検討を主としておこなった。平成13年度にはモデルの改良と妥当性の確認のため、動物実験モデルの作成とその計測系の開発を行っているが、まだ試行錯誤の段階で有用なデーターは得られていない。
|