(1)慶應義塾大学放射線科において放射線治療を受けた症例の中から、頭部に放射線治療を受けた症例を50例選び出した。フィルムデジタイザを用いて、症例それぞれに対して、シミュレータを用いて撮影された位置決め写真、リニアックによるポータルフィルムをすべてデジタル化した。これらのデジタル画像をもとに、今後の検索にも供せるように臨床データも一部加えて、研究対象症例の画像データベースを作成した。 (2)位置決め画像及び、リニアックグラフィーそれぞれに対し、投影像であることに起因する拡大率の補正を行い、露出の差を階調処理で補正しnormalizeした。リニアック装置特有の半影を検出するための周波数処理を試行した。さらに局所的な露出の差を補って部分的な明暗を少なくするために局所的ヒストグラム均等化法を施した。まず、人の目視により照射範囲確認の手がかりとなる骨の特徴的形状や照射野枠を確認し、判別法を検討した。システムによる照射野枠の自動認識のためのフィルタについて、エッジ強調を中心に周波数処理等を実施し、各種の手法の有用性について検討した。 (3)対象症例各例について、目視によって確認された骨格等の特徴点のシステムへの入力法、照射野枠の入力法について、特にマンマシンインターフェースの観点から検討を行い、処理された画像をもとに、人の目視で、特徴点等を入力し、これをもとに照射野のずれの程度を測定するプログラムを試作した。このプログラムの出力結果の妥当性の検証とともに、ずれの起こる原因について検討した。
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