研究概要 |
文部科学省科研費補助金により研究を遂行した結果,以下のような成果を得た。 1.弱電離線状プラズマから出力するX線スペクトルの測定:フッカリチウム湾曲単結晶を使った透過式分光器とデジタルX線撮影(CR)システムを用いてX線スペクトルの測定を行った。実験では鉄,ニッケル,銅,モリブデン,銀,およびセリウムのターゲットを用いた。制動X線をノイズ,特性X線をシグナルとした場合,銅やニッケルでは1000:1以上のSN比を得ることができた。この値は通常の軟X線レーザーのものと比較して,非常に高い。 2.セリウムターゲットプラズマX線管の製作:反応性の高いセリウムターゲットを製作し,X線管に取付けた。銅やニッケルなどと比較して原子番号が高いので,多少の制動線は出力するが,高い強度のK系列特性X線が出力した。 3.セリウムのK系列特性X線を使った微細血管造影:セリウムのK系列特性X線はヨウド系造影剤に容易に吸収されることから,数10μmの微細血管が鮮明に造影できた。 4.反射式面焦点プラズマX線管の製作:ポリキャピラリープレートを使った平行X線撮影において,照射野を広くするには面焦点のX線管が必要になる。ここではターゲット先端に直径10mmの円盤を取付けることにより面焦点X線管を製作し,X線特性を測定した。 5.ポリキャピラリープレートを使った単色平行X線撮影:ポリキャピラリープレート,面焦点X線管,そしてCRシステムを組合わせて平行X線撮影システムを構築し,平行X線撮影を行った。 6.複合平行X線レンズの基礎研究:厚さ1mmのポリキャピラリープレートを使用した場合,銀のK系列特性X線を用いた撮影は難しい。ここでは2枚のポリキャピラリープレートを用いた複合X線レンズに関する実験を行った結果,ほぼ良好な結果を得ることができた。
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