研究概要 |
擬似X線レーザー装置の試作:約0.2μFの低インダクタンス大容量コンデンサーを高電圧電源を用いて60kV程度まで充電し,蓄積された電荷を瞬時に冷陰極X線管内に放電することにより,擬似X線レーザーを発生した。X線管をターボ分子ポンプにより1mPa程度に連続排気し,管のターゲットには鉄,ニッケル,銅,モリブデン,銀,そしてセリウムを用いた。 弱電離線状プラズマから出力するX線スペクトルの測定:フッカリチウム湾曲単結晶を使った透過式分光器とデジタルX線撮影(CR)システムを用いてX線スペクトルの測定を行った。実験では鉄,ニッケル,銅,モリブデン,銀,およびセリウムのターゲットを用いた。銅やニッケルでは1000:1以上のSN比を得ることができた。 X線の発散:一般のX線装置から出力するX線と弱電離線状プラズマから出力するX線との違いを見るために,2組の厚い鉛スリットを製作して,X線の発散実験を行った。通常のX線はスリットを通過した後にほとんど発散しないが,プラズマからのX線は大きく発散した。 セリウムのK系列特性X線を使った微細血管造影:セリウムのK系列特性X線はヨウド系造影剤に容易に吸収されることから,血管造影にはたいへん有用である。撮影にはCRシステムの高精細モードを使った。ウサギの耳を用いた血管の造影では,数10μmの微細血管が鮮明に造影できた。 ポリキャピラリープレートを使った単色平行X線撮影:ポリキャピラリープレート,面焦点プラズマX線管そしてCRシステムを組合わせて平行X線撮影システムを構築し,撮影を行った。鉄,ニッケル,銅,モリブデンでは厚さ1mmのポリキャピラリープレートを用いてX線をほぼ平行化することができた。このポリキャピラリーを使用した場合,銀やセリウムのK系列特性X線を用いた撮影は難しい。ここでは2枚のポリキャピラリープレートを用いた複合X線レンズに関する実験を行った結果,ほぼ良好な結果を得ることができた。
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