最近の放射線治療技術の発展により、厳密な照射野の設定や的確な照射線量の決定が重要課題となってきている。微小転移や微小浸潤癌の範囲と腫瘍細胞数や放射線感受性がわからなくてはならない。 脳転移においては、MRI上2mm径で発見でき、4mm径では中心部壊死が出現する。この出現は、腫瘍の成長が速い場合に見られた。しかし、放射線の効果は中心部壊死がない場合と差がなかった。これは、放射線抵抗性の低酸素細胞とClon ogenic cells数が相殺される結果かもしれない。30Gyの照射後の消失率は、腫瘍サイズに依存し、3mm(細胞数10^6)以下で85%、3-5mm(10^6)で50%であった。乳癌は肺癌より、小細胞癌は腺癌良い傾向にあった。 口腔癌の術後照射に関する研究では、原発巣がfreeであっても38%再発した。術後照射50Gyにより全例制御されたが、長期Dormant状態にある腫瘍もあった。微小残存腫瘍に対する照射で83%制御された。リンパ節転移があった症例では、36%にリンパ節転移が後発した。再発は照射野外が主で、微小残存細胞が広がっていると考えられた。術後照射50Gyで10%に下がった。中咽頭癌においては、予防照射によって後発リンパ節転移は15%と口腔癌の半分以下の頻度である。再発はいずれも照射野外であった。中咽頭癌においての微小癌に対しての放射線効果は高かった。 子宮体癌の微小癌に対する術後照射は、40Gyと50Gyで差は認めなかった。抗がん剤の併用はStageIII症例の微小癌に有効であるかもしれない。直腸癌の術前20Gyは、腫瘍は50%以上縮小し、リンパ節転移も抑制された。微小転移は少ない線量でも制御される可能性が高い。 Lewis肺癌の微小転移(10^4個細胞以下)に対する20Gyの肺照射は、細胞数を1/10-100しか殺すことができなかった。低酸素細胞増感剤の効果も認められた。このことは、筋肉内移植腫瘍(10^5の細胞死)と比べ非常に抵抗性であり、低酸素細胞の寄与だけでは説明できなかった。この点について病理学的検討を行う。
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