致死的急性塊状肺血栓塞栓症に対して血栓破砕吸引療法の臨床応用を行なった。その初期臨床経験を中心に、概要を述べる。【対象】カテ-テルの回転により急性塊状肺血栓の破砕治療を行った57歳、72歳、78歳の女性で、連続した3例。急性肺血栓塞栓症の誘因は、重症骨盤骨折後の長期臥床、膝蓋骨骨折手術後、および血管造影後の安静解除で、発症から血管造影までの時間は、24時間、8時間、8時間であった。【方法】カテ-テルは、肺動脈造影用6Fr.curved pigtail catheter(Medi-kit)を使用した。挿入経路はいずれも大腿静脈経由とした。Catheterは左または右の主肺動脈から中間肺動脈幹レベルに留置させた。カテ-テルの回転は手動で行った。【結果】1.カテ-テルの肺動脈への挿入は容易に行われた。2.カテ-テルの回転も概ね良好に行われた。3.治療直後の血管造影像の明らかな改善が得られた。4.血栓溶解・吸引療法を併用し、肺動脈圧は130分間で41/16(26)mmHgから27/8(17)mmHgに低下した。【結論】本法の有用性が示唆された。引き続き症例を重ね、研究を継続させる予定である。
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