平成12年度における初期経験に立脚し、致死的急性塊状肺血栓塞栓症に対し、血栓破砕吸引治療の臨床応用を継続した。【対象】急性塊状肺血栓の破砕吸引治療を行った10例。男性2例、女性8例。年齢は56-78歳(平均67歳)に分布していた。【方法】大腿静脈経由にて肺動脈造影用特注k-PAカテーテル(メデイキット)を左または右の主肺動脈-中間肺動脈幹に留置。カテーテルを、側孔から出したガイドワイヤーを軸として、手動で回転させた。治療に際しては、血栓溶解療法(t-PA:チソキナーゼ640万単位/64分)と血栓吸引療法を併用した。【結果】1.カテーテルの肺動脈への挿入は容易に行われた。2.カテーテルの回転も概ね良好に行われた。 3.全例で治療直後の血管造影像の明らかな改善が得られた。 4.肺動脈圧は、平均131分間で、51.2/17.7(30.3)mmHgから29.4/12.1(20.5)mmHgに低下した。【考察】本法は、カテーテルのピッグテイル部分の回転が直接血栓を破砕し、遠位に小血栓を移動させるものである。破砕された血栓の表面積は増大するため、血栓溶解療法の効果が増強することも良好な結果につながったものと考えている。【結論】本法の有用性が示唆された。ひき続き症例を重ね研究を継続させる予定である。
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