以下に示す3項目の本年度の研究計画ごとに成果を述べる。 (1)臨床データに対するニューラルネットの動作確認 臨床データを基礎実験データと同様の方法で収集し、臨床データに対する散乱線補正と核種の分離を検証する。この段階では、ニューラルネットはハードウェア化せずに、データ収集条件を変えて、実験データとの適合性、ネットワークの構造などを再検討した。同時に、昨年、別の研究者から提案された2核種分離法と我々の手法のどちらが優れているかを検証した。具体的には、ニューラルネットに入力するパラメータを再検討し、エネルギーウィンドウの設定位置やその幅を、実測データから最終決定した。この結果、我々の提案する方法が優れていることが明らかとなった。 (2)ニューラルネットのハードウェア化と有効性の検証 ニューラルネットの構造を最終的に決定し、散乱線の補正と核種の分離が実行できるようにハードウェア化を実際のSPECTシステムに対して検討した。具体的な方策は、データの均一性や直線性などを補正している部分のファームウェアの書換えによって実現するというものである。このようにする事で、放射性同位元素の核種に合わせて、ニューラルネットの素子間の重みテーブルをコンピュータよりロードし、適切なパラメータを検査ごとに選択して散乱線補正と核種の分離を行なうことができる。一部のファームウェアの書き換えも試みたが、より一般性を持たせるため最終的にはソフトウェアレベルでも実現できるようにした。 (3)報告書の作成 本研究の成果に関して、報告書にまとめた。
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