1:担癌動物および実験モデル 当初、白色家兎の耳介に実験腫瘍(VX2)を生着させ実験に臨んだが、耳介動脈が細径で確保に時間を要する事、また、耳介動脈よりのDSM動注にて耳介の障害が強い事などより耳介は断念し、家兎の大腿部皮下に実験腫瘍を生着させた担癌動物を作成し実験に用いた。腫瘍への動注は対側大腿動脈から腹部大動脈のbifurcation上部に逆行性に挿入した3Fのカテーテルより施行した。また、反復動注群においてはカテーテルの遠位端にインジェクション・キャップを装着し大腿部皮下に埋め込み、インジェクション・キャップより反復動注した。 2:DSM動注と抗腫瘍効果 実験群であるDSM少量1回動注群、少量反復動注群およびDSM多量1回動注群、多量反復動注群での各群における腫瘍増大率とコントロール群の腫瘍増大率を比較した。結果、DSM少量1回動注群では腫瘍の増大抑制効果は認められなかったが、少量反復動注群では腫瘍の増大抑制効果が認められた。また、多量1回動注群および反復動注群では腫瘍の縮小が認められた。従って、DSMは多量に動注すれば1回動注でも反復動注でも抗腫瘍効果が得られる。さらに、少量投与でも反復動注すれば腫瘍の増大抑制効果が得られる事がわかった。 3:抗腫瘍効果とSOD活性 DSM動注の抗腫瘍効果に活性酸素が関与している事を間接的に証明するために各実験群およびコントロール群の腫瘍細片よりSOD活性の測定を行った。実験群におけるSOD活性の測定は抗腫瘍効果を判定した、動注開始より3日後の時点で測定した。しかし、この時点でのSOD活性の値はどの実験群においてもコントロール群のSOD活性の値と比較して有意差はなかった。従って、今後、DSM動注直後、1日後などSOD活性の細かい経時的推移を調べる必要性があると考えられ現在、施行中である。また、病理組織の検討も行っている。
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