DSM単剤でも腫瘍の栄養血管に動注することにより抗腫瘍効果が得られる事が明らかとなった。DSMを30mg/kgと多量に動注した場合、1回動注でも反復動注でも有意な腫瘍増大抑制効果が得られた。 また、DSMを10mg/kgと少量動注した場合でも反復動注することにより腫瘍増大抑制効果が得られた。これは、DSMを30mg/kgと多量に動注した場合、10mg/kg投与に比べ虚血時間の延長がその腫瘍増大抑制効果の違いに関与していると推測された。また、DSM動注による虚血負荷は反復して与える方が1回のみよりも強い腫瘍増大抑制効果が期待できるものと考えられた。DSM動注後の腫瘍組織のSOD活性を経時的に測定した結果、血流の再灌流が生じた直後でSOD活性の値は有意に低値を示した。これは、再灌流後に多量に発生した活性酸素に対する抗活性酸素作用の結果と推測された。また、同様のSOD活性の経時的変化は腫瘍周囲筋肉においても見られた。組織学検討では血管内皮細胞の障害こそあれ、腫瘍血管には塞栓、閉塞は見られず開存していたことより今回の抗腫瘍効果は単に腫瘍の虚血変化ではなく虚血再灌流障害の関与があるものと推測された。
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