研究課題/領域番号 |
12670917
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福田 紀子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20173354)
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研究分担者 |
小林 理子 北海道大学, 保健管理センター, 講師 (90281823)
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キーワード | 入院高齢者 / 高照度光照射 / 睡眠障害 / 昼食時 / 脳波 / 行動観察 / 眼科的検査 / 冬季 |
研究概要 |
睡眠障害のある入院高齢者の睡眠内容改善を目的に、昼食の時間帯を利用して高照度光照射を施行し、睡眠の改善効果を探ることを目的に夏季に実験を行い、高照度光照射が睡眠内容を改善したことを報告したが、日照時間が少なく、受光量の減少が予測される冬季において高照度光照射が入院高齢者の睡眠・覚醒並びに眼科的所見に及ぼす影響について検討し、あわせて入院中の部屋の光環境についても計測を行った。 対象は、老人病院入院中の睡眠障害を有する高齢者9名(男性5名、女性4名、平均年齢±標準偏差:84.3±7.6歳)である。実験は、10月下旬から12月下旬までの9週間を、3週間毎に日常生活の照度下(1000ルクス以下)条件、光照射条件(約8000ルクス)、再び日常生活下での照度条件に設定し、月曜から金曜日まで、午前11時半から12時の1時間を看護者とともに光療法室で過ごした。その結果、行動観察からは、9症例中4症例について統計学的に有意な変化が認められ、入眠潜時の短縮(1例)、午前の眠気の改善(2例)、睡眠状態の悪化(1例)であった。睡眠脳波を記録できた5例については、効果の出現に時間的差があるものの、光照射時には、睡眠効率の増加、中途覚醒の減少、および睡眠段階2の出現率の上昇があり睡眠の質が改善していた。効果の持続は夏季より短く、夏季に後照射条件で効果がなお認められた症例においても元に戻る場合があり、夏季に比べて日中の受光量が少ないことが原因しているとも考えられた。目に対する影響は、照射後の検査で全員異常なく、2名に施行した網膜電位測定の結果も眼科的に重篤な副作用がないことが証明された。被検者の光環境について連続測定した結果は、入口側では同時刻でも窓側に比べ著しく受光量が少なかった。窓側においても部屋の向きと時刻に影響を受け、日中の行動がベット周辺に限定されがちな入院高齢者の光環境についても検討する必要のあることが示唆された。
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