研究課題/領域番号 |
12670918
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
布村 明彦 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60241436)
|
研究分担者 |
千葉 茂 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90171941)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
キーワード | Alzheimer's disease / Amyloid-β / Down's syndrome / 8-hydroxyguanosine / Nitrotyrosine / Oxidative damage / Presenilin / RNA |
研究概要 |
最近、われわれは、孤発性アルツハイマー病(SAD)において、大脳皮質神経細胞内にRNAの酸化によって生じる8-hydroxyguanosine(80HG)が出現することを明らかにした。本研究では、SAD脳、家族性アルツハイマー病(FAD)脳、およびダウン症候群(DS)脳における80HGの発現とアミロイドβ(Aβ)沈着との関連性について検討した。 プレセニリン-1(PS-1)変異を有するFAD(PS-FAD)群12例(年齢47-81歳)、SAD群22例(57-93歳)、DS群22例(0.3-64歳)、非痴呆群40例(0.3-86歳)の剖検脳をMethacarnあるいは中性ホルマリンで固定した。パラフィン包埋後に厚さ6μの切片を作製し、1F7(抗80HG)、4G8(抗 Aβ)、BC05(抗 Aβ42)およびBA27(抗 Aβ40)による免疫染色を行った。海馬支脚錐体細胞層あるいは大脳新皮質第3層において、80HGの免疫反応強度(Optical Density)ならびにAβ沈着密度をQ5001W-EX(Leica)を用いて解析した。 SADおよびDSにおける神経細胞内80HG免疫反応性は、対照群に比べて有意に増強していた。一方、PS-1FADでは、12例中4例で対照群よりも高い80HG免疫反応が認められたが、群全体としては対照群との間に有意差は認められなかった。SADおよびDSではAβ沈着量と神経細胞内80HG免疫反応性との間に有意な逆相関が認められ、DSではAβ沈着が高度になる30歳代以前に80HGが高度に発現していた。PS-1FADでは、Aβ42沈着量と80HGとの間に逆相関の傾向が認められた。 以上の結果から、神経細胞内RNAの酸化は、SADやDSにおいて病理学的カスケードの上流で生じると考えられた。また、Aβ沈着は、酸化的ストレスに対する防御反応である可能性も示唆された。
|