研究課題/領域番号 |
12670923
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 親次 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (90162437)
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研究分担者 |
小西 聖子 武蔵野女子大学, 人間関係学部, 教授 (30251557)
森田 展彰 筑波大学, 社会医学系, 講師 (10251068)
中谷 陽二 筑波大学, 社会医学系, 教授 (30164221)
蓑下 成子 川村短期大学, 生活学科, 助教授 (20333255)
岡田 幸之 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (40282769)
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キーワード | 放射能 / 被災者 / 思春期 / STAI / GHQ / IES-R |
研究概要 |
東海村事故で10km以内の屋内退避範囲内であった高校(全校生徒1000名のうち約25名が東海村に在住している)と、100km以上離れた高校の2校で精神健康度の調査を行った。調査に関してはカウンセラーが中心となり、学生にインフォームドコンセントを十分に行い、必要な場合には精神的なケアを提供することを前提として以下の調査研究を行った。a)学生の被ばくに関する不安感(STAI:State-trate anxiety inventory)と精神健康度(GHQ:General Health Questionnaire)とIES(Impact of Event Scale)を質問紙により調査し、不安の高い学生や精健康度の低い学生を把握する。b)学校と事故発生場所との距離と学生の不安感は関連するかどうかを明らかにする。c)1999年10月15日に実施した第1回目の調査と1999年12月22日に実施した第2回目の調査との間の各心理尺度の変化を調べた。 3ヶ月後に各心理尺度が高得点群となる要因を多重ロジスティック解折で検討したところ、上級生であること、生命に危険を感じたこと、1ヶ月以内に事故よりショックなことがあったという要因は心理得点上、精神健康を悪化させる大きな要因であることがわかった。生命に危険を感じるという要因はこの研究の様々な解析からも有意にハイリスク者を予測しており、ASD(急性ストレス障害)やPTSDの診断基準でもあることから今後の災害後のケアの目安とできるであろう。1ヶ月以内に事故よりショックなことがあったという要因は、安藤らが調査した都内の性被害調査でもハイリスク者を予測するとしている。繰り返すトラウマはPTSD発症を促進するという研究報告が多い。 今回の事故においては、事故後の対処方法を知識として得る機会が茨城県では十分に与えられたことが、今回の調査対象者において精神健康が回復した要因のひとつとなっていると考えられた。
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