研究分担者 |
伊良皆 啓治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20211758)
伊藤 憲治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80010106)
岩波 明 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80276518)
湯本 真人 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30240170)
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研究概要 |
1.高解像度脳波計測システム われわれは高解像度脳波計測システムを用いて、精神分裂病患者を対象として認知文脈の更新過程を反映する事象関連電位P300成分の異常が、分裂病の思考障害の脳生理学的基盤をなすことを見出した(Iwanami et al.,2000)。また、このP300成分に反映される情報処理異常が、新規抗精神病薬であるリスペリドンによって一部改善することを見出した(Iwanami et al.,in press)。一方われわれは分裂病における無関連刺激の抑制に関連する事象関連電位の異常を見出した(Kamio et al.,in press)。さらに、各種事象関連電位成分と分裂病患者の適応障害の関連を検討し、覚性レベルを反映するN100成分と制御的検出過程を反映するN2b成分の障害が分裂病患者の社会生活技能障害と密接に関連することを見出した(Ohno et al.,2000)。 2.高解像度脳磁図計測システム われわれは高解像度脳磁図計測システムを用いて、健常者における音源定位に関連する多部位脳活動を3次元MRI上に同定して報告した(Itoh et al.,2000)。今後は分裂病患者における異常や適応障害との関連を検討していく。 3.3次元MRI われわれは3次元MRIを用いて分裂病患者の機能異常と解剖学的位置関係の対応に加え、脳構造体積との関連の検討を進めている。 4.複数のイメージング技術の統合 このように、複数のイメージング技術を統合して精神疾患の脳病態の異常を多面的に理解するというわれわれの先駆的な努力が世界精神医学連合公認雑誌の招待論文として発表される(Kasai et al.,in press)。平成13年度は精神疾患の脳病態理解の鍵概念である性差による違いを中心に検討を進めていく予定である。
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