研究概要 |
アルツハイマー病をはじめとする痴呆性疾患においては,認知機能障害に加えてBPSD(Behavioral and Psychol ogical Symptoms of Dementia)とまとめられる行動異常や精神症状が高頻度にみられる. 本研究では,研究の3年間を通じて,BPSを呈する軽症から重症の60人のアルツハイマー病患者を対象として,これらの症候に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の効果と,セロトニン・ドーパミン拮抗薬を併用した場合の効果とを比較検討する.また同時に,BPSの改善が(1)患者の認知機能障害の程度と関連するのか,(2)PETによる局所脳糖代謝率の変化と関連するかを検討する.ただし,予定した局所脳糖代謝率測定が諸般の事情により研究途中で実施困難となったため,かわりに99mTcHM-PAO SPECT脳血流検査を実施している. 対象はNINCDS-ADRDAの診断基準でPossible ADあるいはProbable ADをみたす外来通院中のアルツハイマー病患者のうち,信頼できる介護者と同居し,80歳以下で,BPSを呈し,本研究実施に書面同意した患者である. 本年度はPossible ADあるいはProbable ADをみたし,信頼できる介護者と同居し,80歳以下の外来通院中のアルツハイマー病患者は43人であり,このうちBPSを呈した患者は18人であった.また、本年度は,現在までの知見についての総説を数編発表した.. 最終年度の次年度はこれら臨床データのさらなる収集に加え、解析と総合的なまとめをおこなう予定である.
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