研究課題/領域番号 |
12670936
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
篠崎 和弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40215984)
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研究分担者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
鵜飼 聡 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80324763)
西川 隆 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60273629)
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キーワード | 統合失調症 / 脳磁図 / 幻聴 / 前頭前野 / 聴覚野 / ネットワーク / しりとり / スツループ課題 |
研究概要 |
統合失調症の認知障害では言語理解の異常が特徴的であると指摘され、上側頭回STGの容積減少、灰白質の進行性の変化、音韻変化に対する聴覚の自動的注意機能の障害などが注目され、前頭前野・上側頭回のネットワークの障害が推定された。そこで脳磁図の空間フィルタ解析でこのネットワークの並列分散処理機構を検討した。 1.言語機能を調べる「しりとり」課題:健常者群では左STGが賦活され左DLPFCは賦活されなかった。患者群では逆で左DLPFCが賦活し左STGは賦活されなかった。これは健常者では音韻処理のためSTGが賦活されたが、課題が容易なのでDLPFCは賦活されなかったのに対して、患者ではSTGの機能障害があるためにDLPFCが過活動となったのであろう。8-25Hz帯域で賦活は顕著で4-8、25-60Hzでは有意な所見は得られなかった。 2.前頭葉の抑制機能を調べるStroop課題:前頭前野背外側部(DLPFC)の賦活(25-60Hz帯域)が健常被験者群、幻聴(-)群、幻聴(+)群の順に減少した。賦活した被検者の割合はそれぞれ80%(10名中8名)、100%(全3例)、20%(5例中1例)、また賦活程度を表わすt値はそれぞれ健常群11.1±1.9、幻聴(-)群8.0±1.2となり、幻聴(+)群でのDLFCの機能不全が最も強かった。時間窓200msを50msづつ移動するとDLPFCは刺激後250-500msの期間に賦活され、後方領域とMIがその前後に時間的にオーバーラップしながら賦活された。 3.統合失調症による言語性幻聴と高齢者難聴による音楽性幻聴の症例研究 言語性幻聴に体験時には左STGから頭頂葉下部の領域でθ帯域成分が増加した。音楽幻聴を体験時は右STG(13-30Hz)とヘシェル横回、側頭平面(8-13Hz)に脱同期が見られた。 これらの結果より統合失調症の症状の成因としてDLPFC・STGのネットワークの機能障害が推論された。
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