当該研究では、分裂病患者死後脳を用いて分裂病候補遺伝子の検索を行なっている。分裂病の陰性症状に関連するとされる前頭前野に注目し、1)正常対照脳と分裂病脳との間で、前頭前野で発現している種々のmRNAの量的比較を行い、分裂病脳で発現が増加している遺伝子と減少している遺伝子を検索している。2)さらに候補遺伝子がコードする蛋白に対するポリクローナル抗体を作製し蛋白生化学的に変化があるかどうかを検討する。3)分裂病モデル動物であるメタンフェタミン投与ラットおよびメフェンサイクリジン投与ラットの脳に発現する遺伝子を同定し、それら遺伝子のmRNAおよび蛋白の量的変化をノザンブロットおよびウエスタンブロットにて分裂病死後脳を用いて検討する。 現状) (1)候補遺伝子同定 分裂病脳と正常対照脳から得られたmRNAから、アレイ法により、変化のある遺伝子同定を継続研究している。 (2)候補遺伝子の蛋白の生化学的、免疫組織学的検討 分裂病モデル動物であるメタンフェタミン投与ラットの脳においてNMDA受容体の下流域にある主要蛋白DARPP-32に蛋白生化学的に変化があることを見いだした。その結果の一部は欧文雑誌SYNAPSEに投稿している(印刷中)。その蛋白の分裂病前頭前野の変化については現在生化学的に検討中である。
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