研究概要 |
平成12、13年度に得られた成果として、aminophylline前投与による海馬あるいは深部前梨状葉皮質(DPC)を焦点とした電気刺激けいれん発作重積モデルにおいて、いずれの場合にも海馬において長期持続性のdelayed kindling effectがみられ、このモデルが発作重積エポックを引き金とする側頭葉てんかんの発症機序を模倣していることが示唆された。 平成14年度は、再びaminophylline存在下に深部前梨状葉皮質を刺激焦点として発作重積動物を作成し、重積の16週後の長期にわたって観察を行い、自発発作の有無の検討や、組織学的検討を加えた。 7匹の動物を使用し(刺激群5匹,対照群2匹)、深部前梨状葉皮質への間欠的電気刺激によって刺激群動物の全てに発作重積が誘導された.今回の実験では5匹中2匹が重積中に死亡したため残りの3匹から得られた結果を使用した.対照群の2匹は未刺激対照群とした.発作重積誘導の7週間後から毎週脳波および行動を観察したところ、8週後より発作間欠期放電がしばしば観察された.しかし、明らかな自発発作や発作脳波活動は観察することができなかった。発作間欠期放電は観察期間である重積発作誘導の16週間後までみられた. さらに重積から16週後の脳波記録後に経心臓的に還流固定し,背側海馬を含む切片のCresyl-Violet染色を行ったところ,カイニン酸重積モデルよりもその変化は弱いものの、海馬CA1,CA3,歯状回門部における錐体細胞の変性と脱落を認めた。
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