研究課題/領域番号 |
12670942
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
渡辺 義文 山口大学, 医学部, 教授 (90182964)
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研究分担者 |
大楽 良和 山口大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
橋本 学 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (80314805)
末次 正知 山口大学, 医学部, 助手 (40294631)
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キーワード | うつ病モデル / ストレス脆弱性 / 慢性ストレス / 視床下部-下垂体-副腎系 / コルチコステロン / Fischer344ラット / 抗うつ薬 |
研究概要 |
本研究の目的は、これまでの我々の研究において慢性ストレスに対して脆弱性を有することが確認された純系ラットFischer344について、うつ病の動物モデルとしての妥当性を検討することである。用いた検討方法は、慢性ストレスと平行して投与される抗うつ薬によって、ストレスに対する適応不全が回避されるかを検討するものである。平成12年度はストレス適応の指標のうち、視床下部-下垂体-副腎(HPA)系の反応を検討した。 慢性拘束ストレス14日間の負荷中の血中コルチコステロン濃度の変化を検討すると、Fischer344ラットはストレス期間中馴れを示さず、ストレス14日目においてもストレス初日と同様の濃度変化パターンを示した。しかし、ストレス開始2週間前よりストレス終了時までの4週間抗うつ薬イミプラミン(10mg/Kg)を腹腔内投与することにより、ストレス7日目よりコルチコステロン濃度変化パターンに変化がみられた。すなわち、ストレス開始30分後のピーク濃度に変化はみられないものの、ストレス開始60分以降コルチコステロン濃度は急速な低下を示した。このピーク時以降のコルチコステロン濃度の低下は、雑種Sprague-Dawleyラットにみられる慢性ストレスに対する適応現象と同様であり、HPA系のネガティブフィードバック機能の亢進と考えられる。今回の結果は、ストレス脆弱性を有するFischer344ラットの慢性ストレス負荷によるHPA系の適応破綻状態が抗うつ薬の慢性投与によって回避されたことを意味しており、Fischer344ラットのうつ病モデルとしての有用性を示唆している。
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