研究概要 |
GLAST knockoutマウスとC57BL/6Jマウスを用いてkindling(K)の発展経過、後放電の持続時間、てんかん性発作発射の出現、特に二次てんかん原性について検討した。【方法】ペントバルビタール麻酔下にGLAST KOマウス(N=8)とC57BL/6Jマウス(N=10)を用いて、両側の扁桃核に電極を装着した。100μA,60Hz,1msecの刺激を24時間に1回刺激電極を通じて与えた。実験終了後、脳を灌流固定後、電極位置を確認し,位置の不適当なものは除外した。【結果】1)K完成までに対照では12.3回、GLAST KOでは15.1回を要した。2)後放電の持続時間は第16回刺激までに有意差を認めず。その後overkindling状態を含めると対照で長かった。3)後放電終了後に出現する自発性棘波の数で刺激側扁桃核、対側扁桃核共有意にGLAST群で多かった。【考察ならびに総括】本報告ではkindling完成に至る刺激回数が有意にGLAST群で多く、後放電の持続時間に差を認めなかった。しかしながら棘波の数に反映される焦点形成、二次焦点形成では逆にGLAST群で促進された結果となった。この結果はkindling完成に至る経過、後放電の持続時間、焦点形成が独立した現象であることを示唆し、特殊な条件下で乖離するものであり、GLASTKOは焦点形成に促進的に作用したと考えられる。次に、両群で基本波の変化を検索した。K前とK完成後に刺激前、10秒間の脳波のFFT解析を行い、帯域周波数別に面積を算定し、比較した。K前後で比較するとC群、G群ともに刺激側、対側扁桃核共に、いずれの周波数帯域でもパワが増大していた。周波数帯域毎に見るとC群で殊にbeta2帯域で著しく4,5倍に増大していた。G群では増大はしているが1.7倍にとどまった。しかしK前のC群G群間に有意な差を認めず、K後のC群G群間に有意な差を認めず、両群共にK前後では有意な結果を得た。考察:速波は刺激病巣を反映し、速波を指標とすると、G群よりC群で顕著であった。
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