研究概要 |
アミロイド斑がアルツハイマー病の原因であるかどうか現時点では不明だが,最近アミロイドβペプチドをワクチンとしてPDAPPマウスに投与すると,アミロイド斑の沈着が顕著に減少したとの報告がなされた。そこで病的老化であるアルツハイマー病のモデル動物としてニーマンピック病C型マウスおよびダウン症のマウスを用いてアミロイドβペプチドを投与し,投与前と後の脳組織を用いて,アミロイド斑の分布と神経原線維変化の有無と,アミロイドβペプチドが病的老化を示すアルツハイマー病の本態か否か,その治療効果の判定を検討することを本年度の研究計画とした。 本年度はアミロイドβペプチドならびにその抗体は準備が出来た。しかしニーマンピックマウスの繁殖に時間が掛かり,現時点では投与前後の比較にまでは到っていない。かつ本モデルは症状の発現まで,その遺伝型の決定が確実でない為,現在NIHのモデルマウスについても同時に検討を進めた。後者はPCRを用いて生後早期に罹患マウスの同定が可能であり,生直後からのワクチン投与とその効果判定が可能と考えている。そこで本年度はC57K_SJ(spm)とNIHモデルの神経病理学的比較を検討した所,spmもNIHモデルも基底核,視床などの神経細胞の変化が初期から顕著である点は類似し,かつ脳幹部や小脳の変化には両者に差がないが,寿命に関してはNIHモデルの方がspmより短命であった。なお大脳皮質の変化はspmの方が早期から認められる結果を得た。この寿命の点で,ダウンマウスがその効果判定により有効と考えて準備していたが,発注後いまだに入手出来ず,この点の検討は次年度も研究を継続する。
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