研究課題/領域番号 |
12670963
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
松村 人志 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50173886)
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研究分担者 |
江村 成就 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20247860)
高畑 龍一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70247857)
黒田 健治 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (20170128)
渡部 紀久子 東亜大学, 大学院・総合学術研究科, 教授 (90211672)
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キーワード | 徐波睡眠 / レム睡眠 / プロスタグランジン / アゴニスト / 前脳基底部 / 一酸化窒素 / 間脳 / c-Fos |
研究概要 |
今回の睡眠に関する基礎的研究においては、(I)吻側前脳基底部脳底の睡眠促進機構、及び(II)間脳領域におけるレム睡眠制御系の追究を行っている。 まず(I)については、以前、プロスタグランジン(PG)E_2を吻側前脳基底部の脳底に接するクモ膜下腔内に持続注入した際に、主に徐波睡眠が大きく増加したことに基づき、今回はPGE_2の各種アゴニストを同クモ膜下腔内に持続注入して、その睡眠・覚醒に対する作用を検討した。PGE_2の受容体はEP_1、EP_2、EP_3、及びEP_4の4種類に分類される。各受容体に選択的なアゴニストを投与したところ、EP_4アゴニストで、生理的に生じ得る最大量の徐波睡眠を引き起こすことができた。また興味深いことに、投与量を小さくすると、徐波睡眠の増加量は減少したが、他方レム睡眠の有意な増加が認められた。さらに同領域への投与では、EP_2アゴニストでもレム睡眠の有意な増加が認められている。以上から、吻側前脳基底部脳底あるいはその近傍においては、PGE_2は主にEP_4受容体の活性化を介して、徐波睡眠そして条件によってはレム睡眠をも促進するよう機能し得ることが示された。さらに、同領域には、EP_2及びEP_4受容体の活性化を介して、レム睡眠を促進する機構も存在する可能性が出てきた。 次に(II)については、ガス状の細胞間シグナル伝達物質である一酸化窒素(NO)の供与剤の間脳領域への投与がレム睡眠を抑制し、NO合成酵素阻害剤の同領域への投与がレム睡眠を増加させることを見出しているが、さらにこれら投与によるレム睡眠の増減に連関して活動を変化させる神経細胞群の局在をc-Fos免疫組織化学を用いて明らかにしつつある。これにより、視床や視床下部領域に存在して、かつレム睡眠の制御に関与する可能性の高いニューロン群が同定されつつある。
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