研究課題/領域番号 |
12670966
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 助教授 (10248411)
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研究分担者 |
向井 正樹 久留米大学, 医学部, 助手 (90312149)
橋爪 祐二 久留米大学, 医学部, 助手
野瀬 巌 久留米大学, 医学部, 講師 (20248404)
原野 睦生 久留米大学, 医学部, 助手 (20289490)
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キーワード | レム睡眠行動障害 / 終夜睡眠ポリグラフ / メラトニン / 相動性筋活動 / 持続性筋活動 / 副作用 / 高齢者 / メラトニン血中濃度 |
研究概要 |
レム睡眠行動障害(RBD)は男性の高齢者に多くみられ、現在はクロナゼパムが薬物治療の第一選択薬として使用されている。しかし、特に高齢者では翌日への持ち越し効果や筋弛緩作用などの副作用の出現頻度が高く、薬物のコンプライアンスの低下をもたらすことも少なくない。そこで今回RBD患者に対するメラトニンの有効性および副作用について検討した。 対象は終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査にてRBDと診断され同意が得られた65歳以上の高齢者7名(男性6名、女性1名、平均年齢72.6歳)であった。メラトニン3mgを就寝30分前に内服させ、メラトニン投与前および投与2ヵ月後にPSG検査とメラトニン血中濃度測定を行った。 7名中6名において睡眠中の異常行動が明らかに減少していた。PSG所見ではメラトニン投与後相動性筋活動(phasic EMG)は減少したものの統計学的な有意差はみられなかったが、持続性筋活動(tonic EMG)は有意に減少していた。また、睡眠効率がメラトニン投与後に有意に増加していた。夜間のメラトニン最高血中濃度はメラトニン投与で有効性を認めた6名全例において明らかに低下していたが、有効性がみられなかった1名は正常範囲であった。副作用としては69歳の女性のみで軽度の眠気が認められたが、投与を中断する必要はなかった。 以上の結果より、高齢者でメラトニンの夜間最高血中濃度が低下しているRBD患者にはメラトニン投与が有効であり、有害な副作用はみられないことが示唆された。また、RBDの作用機序は明確でないものの、持続性筋活動を有意に減少させることによって睡眠中の異常行動を改善させている可能性が推察された。
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