BCL6遺伝子は、B細胞性リンパ腫に高頻度に見られる染色体の3q27転座に伴い再構成を起こす。染色体転座の切断点はBCL6遺伝子の第一エキソン・イントロン境界の約3kbの限られた領域で起こる。さらにこの領域は染色体転座に限らず、悪性リンパ腫において高頻度に点突然変や部分欠失が見られることも報告されている。そこで我々はこの領域の機能につき解析した。B細胞株Rajiを用いLuciferase assayを行ったところ、2ヶ所の負の転写調節領域が見出された。一つは第一エキソン内+472-+543の部分で、ここにはBCL6タンパクの結合配列が存在していた。ゲルシフトアッセイ等の結果より、BCL6の発現には負の自動調節機構が存在するものと考えられた。もう一つは第一イントロン内+783-+918の部分で、サイレンサー活性を有していた。ゲルシフトアッセイでは同部位に特異的に結合するタンパクの存在が証明された。またこの部位は多くのリンパ腫において欠失する領域に含まれていた。以上より、BCL6遺伝子の第一エキソン・イントロン境界には二つの負の転写調節領域が存在しており、悪性リンパ腫ではこれらに異常が起こることにより、BCL6の発現に異常をきたすものと考えられた。(以上Oncogene誌) 複雑な染色体異常を有するリンパ腫症例において、G分染法に加え、14qterプローブを用いたFISH法およびSKY法を併用することにより、詳細な解析が可能であった。t(3;14)はFISH法のみで検出可能であり、他の方法では第3染色体は正常と判定されていた。G分染法の結果をFISH法とSKY法により修正すると、13個の染色体において新しい情報が得られた。(以上American Journal of Hematology誌) BCL6類似分子BAZFのヒトホモログを単離した。ヒトBAZFもヒトBCL6に高度の相同性を示し、N末端にPOZドメイン、C末端にZinc-fingerドメインを有していた。また、遺伝子の局在はFISH法にて17番染色体p13と判明した。BAZFの発現は各臓器でubiquitousに認められたが、特に心筋で高発現していた。ヒト赤芽球細胞株HELをTPAで巨核球に分化させるとBAZFの発現が誘導され、巨核球分化に関係していることが示唆された。(以上BBRC誌)
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