von Willebrand因子(以下VWF)のFlanking region(アミノ酸残基459-508および696-709)を欠如したA1ドメインを持つリコンビナントVWFを作成し、GPIb結合能を検討した。アミノ酸配列番号497-508、および459-508と696-709の双方を欠失させたものにおいてGPIb結合が増強したが、N末におけるもっと広い領域、459-508、475-508、また696-709のみの欠損ではGPIb結合は正常であり、結果欠損による増強効果はアミノ酸の一次配列に依存しないと考えられた。 von Willebrand病type2B(患者血漿のVWFの血小板結合能が著しく増強する希なタイプ)患者において一部にArg-545の変異がみられる。このことにヒントを得て、上記の各欠失mutantのArg-545をalanineに変換させたDouble mutantを作成したところ、これらすべてにおいてモジュレーター(ristocetin、botrocetin)依存性のGPIb結合が増強した。試験管内ではVWFと血小板GPIbの結合はモジュレーターがないと起こらないが、497-508、696-709を欠損したもののDouble mutantでは興味深いことにmodulator非依存性のspontaneous bindingが出現した。以上のことより、VWF-GPIb反応の制御は、S-S結合ループ外側の領域とType 2B領域の協調により成立していると考えられた。
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