研究課題/領域番号 |
12670984
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 伸 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10101255)
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研究分担者 |
轟木 秀一 産業医科大学, 医学部, 助手 (50320346)
清水 慶子 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90135616)
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キーワード | Tissue Factor / Neutrophil / Inflammation / Thrombosis / Coagulation / Leukocyte Activation |
研究概要 |
背景・目的: 従来から、単球は組織因子(TF)発現性であるが、好中球についてはTF発現能はないとされていた。一方、我々は好中球でのTF発現を見出し、好中球の新たな機能として注目されているが、従来説も根強い。今回は、サルおよびヒトの炎症・病巣部位など血管内外での好中球TF発現について、その発現機序も含め更に検討した。 結果・考察: LPS投与サルにおいて、肝臓の類洞に顕著な好中球集積が見られ、TF抗体での免疫染色で強陽性を示した。また、アルザス反応モデルの皮膚組織においても、浸潤好中球でのTF陽性が観察された。更に、こうした好中球でISHでのTF mRNA発現が確認され、TFがde novoに発現・生成することが明になった。加えて、TF発現好中球にはVII因子が結合し、細胞表面での凝固活性化が示され、事実、TF陽性好中球周辺にフィブリン形成が認められた。抗PAF剤による好中球TF発現の抑制ならびに炎症部位でのICAM-1の発現誘導から、好中球TF発現にPAFやICAM-1を介した内皮細胞-好中球相互作用の関与が窺える。なお、ヒトの虫垂炎、脳梗塞部位などにおいても好中球でのTF発現が見られ、炎症局所での好中球TF発現が高頻度に起きていることが示唆された。
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