研究課題/領域番号 |
12670991
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40294623)
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研究分担者 |
津山 尚宏 山口大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10335747)
河野 道生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161343)
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キーワード | 骨髄腫 / IL-6 / CD45 / PLC / Caイオン / FGFR3 / 細胞増殖 / CD19 |
研究概要 |
IL-6刺激によって活性化されるSTAT3とERK1/2だけでは骨髄腫細胞のIL-6反応性増殖には不充分であり、CD45の発現により制御されるsrc型PTK、Lynの活性が必須であった。さらにCD45^+U266で活性化されているLynの下流刺激伝達分子としてPLC-γ2を介したCaイオンの増加とPKCの活性化が示唆された。PLC選択的阻害剤U-73122の投与でCD45^+U266のIL-6反応性増殖は顕著に抑制されたことより、Lynの下流で働いているPLC-γ2を経由する刺激伝達経路が重要であることが解った。さらに、CD45^-U266をionomycinで処理するとIL-6に反応して細胞増殖が促進され、あたかもCD45^+U266のようにふるまうことから、PLC-γ2の下流で起こるCaイオンの増加が重要であることが示唆された。今後CD45^+U266におけるPKC阻害剤の効果、またはCD45^-U266におけるPMAの効果などを検討して、IL-6反応性増殖における活性化PKCの意義を調べる必要がある。一方、FGFR3を過剰発現する骨髄腫細胞株KMS11はCD45陰性でありIL-6と無関係に増殖するが、FGFと一緒にIL-6で刺激すると細胞増殖が促進された。FGFによりPI-3Kやp70S6Kなどが活性化されており、この細胞ではU266におけるCD45、Lyn、PLC-γ2、Caイオンの増加といった一連の反応の代りにPI-3Kを介したp70S6Kの活性化がIL-6で活性化されるSTAT3やERK1/2の活性化と一緒になって初めて増殖刺激を誘導していると考えられた。 骨髄腫細胞はCD19の発現を消失しており、CD19遺伝子を導入したCD19^+U266はIL-6非存在下で親株(CD19^-U266)よりも増殖が緩やかであり、KMS5を使った過去の結果と一致する。しかしながら、CD45^+U266におけるIL-6反応性増殖はCD19発現細胞でより亢進していた(IL-6存在下ではCD19^+CD45^+U266の方がCD19^-CD45^+U266よりも細胞増殖が促進されていた)。ここでもCD19分子が何らかの細胞内刺激伝達分子の活性を制御している可能性が考えられ、今後詳細な解析が必要と思われる。
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