研究概要 |
1.gp91^<phox>プロモーター活性化におけるPU.1の役割 gp91^<phox>プロモーターのPu boxにはPU.1とHAF-1が結合し,どれがその遺伝子発現に重要かは不明であった.Pu boxに網羅的に点変異を導入し,転写活性と,これらの転写因子の変異配列への親和性との相関をみたところ,PU.1との相関が高く,Pu boxの配列をetsコンセンサス配列に近づけると転写活性を挙げ,同時にHAF-1へではなくPU.1への結合親和性をあげることがわかった.これらのことは,in vivoでは,PU.1こそが,優位に働く転写因子であることを示していた.この研究経過の中で,更に2つの発見がなされた.1つは,今後見つかるであろう新奇慢性肉芽腫症におけるプロモーター変異の予測と,もう一つは,将来必要となる慢性肉芽腫症の遺伝子治療における生理的なgp91^<phox>のための発現コンストラクトに必要なエレメント構造の提供である. 2.gp91^<phox>の発現がIFN-γで誘導されるが,それに係わるcis-エレメントは転写スタート部位上流約100塩基のGASと88塩基のISREである.これらに結合するそれぞれの転写因子,STAT-1αおよびIRF-1を同定し,お互いに協奏して転写を挙げることが明らかとなった. 3.gp91^<phox>遺伝子の5'部 -180塩基部にAML-1α結合類似部位を見つけ,その生理的役割を検索したところ,配列特異的なGTミスマッチ結合蛋白質を新たに発見した.その生理・病理学的な役割の解析は今後の問題である.
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