研究概要 |
我々は、平成12年度において以下の3点を明らかにした。 (a)ヒト血小板に発現するミオシン重鎖のアイソフォームは、MHC-ILAのみであることを転写レベルで証明した(Kitasato Med,in press)。 (b)ヒト血小板・巨核球系白血病細胞株Meg-01のミオシン軽鎖全長のクローニングを行い、一次構造の比較を試みた。新たにクローニングした20-kDaミオシン軽鎖は、様々な動物の筋肉や平滑筋などで報告されている20-kDaの制御軽鎖(MLC-2)と相同性が認められた。さらに、リン酸化を受けるアミノ酸残基(Ser-1,Ser-2,Thr-9,Thr-18,Ser-19)も、既に報告されているchicken gizzard 20-kDaの制御軽鎖と一致した(J Smooth Muscle Res.in press)。次に、ヒト血小板RNAより、第2のisoform(MLC-2B)をクローニングした。MLC-2A,MLC-2Bは、調べた血液細胞およびcell lineにすべてに構成的に発現していた。また、U937より、第3のisoform(MLC-2C)をクローニングした。これは、chicken gizzardのMLC20と全く同一のものであったが、単球系細胞および血小板のみに発現し、またHL60をTPAで単球系に分化させた時に誘導されてくることも判明した。 (c)非筋細胞においては、最近unconventional myosinが14種報告されている。 これらのmyosinが血液細胞に発現しているのかどうか不明のままであった。我々は、最近、RT-PCRおよびノザンブロットにより一部のunconventional myosin(myosin I-C、blush border I、myosin VI、myosin VIIなど)が血液細胞にも発現していることを証明した(北里医学、in press)。
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