慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia : CML)は多能性幹細胞の腫瘍化と考えられているが、その進展機構はまだ十分には解明されていない。近年、我々はCMLの急性転化において慢性期と比べ分子レベルで欠失loss of heterozygosity (LOH)が高率に認められることを報告した。最も頻度が高かったのは第1染色体短腕(1p)だったが、第22染色体長腕(22q)にもLOHを認めている。最近小児のmalignant rhabdoid tumorにおいて22q11に局在するSNF5遺伝子が癌抑制遺伝子として働いていることが示唆された。 我々はCMLを含む造血器腫瘍205例の骨髄細胞を用いて染色体分析を行ない、SNF5遺伝子座がある22q11を含む染色体異常の有無を検索した。CMLでは全例でPh染色体t(9;22)を認めたが、最近FISH法で報告されているような22qの欠失は明らかでなかった。これに対してCML以外の造血器腫瘍の一部でモノソミー22や22qの欠失を認めた。 前出の造血器腫瘍からDNAを抽出しPCR-SSCP法を用いてSNF5遺伝子の1-9の各exonの異常を解析した。モノソミー22を認めた腫瘍の一部でmobility shiftを認め塩基配列を解析したがpolymorphismと考えられ明らかな変異はこれまでのところ認められていない。 さらに22qの欠失を認めた腫瘍を中心にmicrosatellite markerを用いて22q上のSNF5遺伝子座近傍でのLOHの有無とその領域の解析を行っている。 またSNF5遺伝子のhaploinsufficiencyがCMLを含む造血器腫瘍の進展に関与している可能性を考えFISH法で解析を行う予定である。
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