研究課題/領域番号 |
12671009
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70107762)
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研究分担者 |
菅野 仁 日本大学, 医学部・生化学教室, 講師 (70221207)
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キーワード | 遺伝性非球状性溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / グルコース-6-リン酸脱水素酵素異常症 / ピルビン酸キナーゼ異常症 / ミスセンス変異 / 塩基挿入 |
研究概要 |
われわれは国内の諸施設より依頼された原因不明の遺伝性非球状性溶血性貧血76症例を検索し、グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)異常症9例とピルビン酸キナーゼ(PK)異常症2例を診断した。 新たに発見したPK異常症やG6PD異常症などについて遺伝子解析を行った。症例1はPK異常症を父に持つ例であるが、遺伝子解析の結果、父親由来の三塩基挿入(664-6 ins GAC)のへテロ接合体であった。症例2は新生児期に早期黄疸と溶血性貧血を認めたが、本例はPK異常症々例(1468T/664-6 ins GAC)の弟で、ミスセンス変異1468T(490Arg→Trp)のへテロ接合体であった。症例3〜6の4家系も1468Tのヘテロ接合体であった。以上の6家系については、他のアリルにはエクソンおよびエクソン-イントロン境界領域に変異は存在しなかった。従来より1468Tのへテロ接合体は溶血性貧血を発症する例が知られており、今回明らかになった664-6 ins GACや1468Tなどの遺伝子変異は、ヘテロ接合体でも溶血性貧血の原因となりうることが示唆された。症例7は1436A(479Arg→His)のホモ接合体で、この変異はエクソン10の3'末端に生じ、スプライシング異常も併せ引き起こすことから、重症の溶血性貧血を惹起すると考えられる。更に、英国人PK異常症6家系についても解析し、3種の新規の変異を同定した。中央ヨーロッパのPK遺伝子で最も頻度の高い変異である1529A(510Arg→Gln)は12アリル中5アリルに同定され、この変異は英国人集団でも頻度が高いことが明らかになった。 genetic rescueしたPK異常モデルマウス赤血球の機能解析に関しては、現在進行中である。
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