研究課題/領域番号 |
12671022
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小川 真 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (50241956)
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研究分担者 |
上田 志朗 千葉大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (50201348)
牧野 康彦 千葉大学, 医学部, 助手 (20323420)
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キーワード | ケモカイン / RANTES / 実験腎炎 / 遺伝子欠損マウス |
研究概要 |
(目的)RANTESは、腎炎で強く発現しているケモカインのひとつであり、腎臓への炎症性細胞の集積と活性化に関与していると考えられている。RANTES遺伝子欠損マウスを用いていくつかの腎炎モデルを解析することにより、腎炎の発症と進展におけるRANTESの役割を明らかにする。 (方法および結果) 1)抗糸球体基底膜抗体腎炎(加速型馬杉腎炎)モデル: 野生型およびRANTES欠損マウスに抗糸球体基底膜抗体を静脈投与して加速型馬杉腎炎を作成し、病理学的に解析した。欠損マウスにおいて尿タンパクや腎機能の改善傾向がみられ、病理学的にも糸球体や間質の障害が軽い傾向がみられた。免疫組織染色による腎浸潤細胞の比較では、欠損マウスにおいて間質へのマクロファージとT細胞の浸潤が軽い傾向がみられた。 2)マウスループスモデル: RANTES欠損(-/-)マウスをMRL-Faslprマウスに5回戻し交配したのち、かけあわせてRANTES+/-または-/- MRL-Faslprマウスを作製して比較検討した。RANTES-/- MRL-Faslprマウスにおいて、1)脇窩リンパ節腫脹が減少し、リンパ節へのB220^+CD4^-CD8^-(DN)T細胞の集積が著明に低下していた。2)肺の血管および細気管支周囲のDNT細胞やCD4^+T細胞を中心とした細胞浸潤が低下していた。3)生存率の延長はわずかで、腎病変には明らかな差を認めなかった。 (結論)加速型馬杉腎炎モデルにおいては、RANTESのこの腎炎への関与は部分的であることが示唆された。マウスループスモデルにおいては、RANTESはリンパ節へのDNT細胞の集積や肺への炎症性細胞浸潤に関与していることが示されたが、腎臓での明らかな差を認めず、臓器特異的なRANTESの関与が示唆された。現在さらに解析をすすめているところである。
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